珍田英作「Record」
会期:2025年7月10日(木)〜 8月5日(火)9:00 – 1600 毎日オープン
会場:OM Art × Music(京都府京都市下京区東塩小路町 735-3)
主催:ギャラリー冬⻘ / キュレーター:野口奈央

今回は作家の3回目となる写真展。2024年6月に京都での写真展作品に新たに撮影されたマスターピースを加え再編成した作品群です。
大病で一度は病院の集中治療室にて「死」を意識した経験からか、作家は誰よりも生きることに誠実であるように感じることが多くあります。そして、いつか誰かの救いとなることを願いながら日々京都を中心に作品制作を続けています。
今、自分がここに存在すること。
隣に誰かがいること。
目の前の幸せを噛みしめているだろうか。
目の前の人を大切にできているだろうか。
忙しい毎日の中で忘れがちになっていないだろうか。
これは、もう一度、自分の人生を生きると決めた作家の人生のレコードである。
ギャラリー冬青 野口奈央
あれから2年が経った。
2022年6月1日に心筋梗塞を起こした。
深夜2時。突然、背中に激痛が走り、目が覚めて、呼吸困難。これはヤバイ、死ぬと思いながらも、今日の午後、大切な案件がある、絶対に外せないと過り、朝イチで病院へ行こうとひたすらに耐えた。
「こんなところで死ねるか、死んでたまるか」とブツブツ呻きながら病院に辿り着いたのは昼過ぎで、即手術。結果、一命は取り留めたものの、心臓の三分の一が壊死。その先端に血栓があり、絶対安静の状態が続いた。
ICUで死を意識しながらも、「生き延びたら作品を作ろう。好きなことして生きよう」とただそれだけを考えていた。
退院する日、担当医から「三途の川をジャンプして、此方側に戻って来たのだから、そのつもりで生きて下さい」と言われた。
外に出た。ここは高層ビルが立ち並ぶ西新宿。循環された空気では無い、生の空気を久しぶりに吸った。生きていることを実感した。
それから数ヶ月、通院とリハビリを続けながら働いていたが、ある日、職を失った。「あっ、これでいいんだ。」「好きなことやれっていうことだ」と思えた。
そして一度、東京を離れて暮らしてみようと京都に引越し、日々カメラをぶら下げて、京都を歩き廻っていると、何気ない街並み、日常のなかに「それでいいんだよ」「so not bad」って言われてるような、異国の地で感じる気づきみたいな、とても美しく包まれるような光を時折感じ、その瞬きを記録し編んだ作品群です。ご高覧頂けたら幸いです。
珍田英作 / Eisaku CHINDA
ある日心筋梗塞をわずらったのち奇跡の復活を遂げた。これからの人生は自分がやりたいことをと一念発起し、2023年から写真家へ転身し京都に移住。2025年の冬に冬青社から写真集刊行予定。
写真展
・2023年6月『MY TEA’S GONE COLD』@山福ジャパン(京都)
・2025年6月『想う、地球と大地のあいだで』@山福ジャパン(京都)
・2025年7月 『Record』@OM×Art Gallery(京都)
Instagram : https://www.instagram.com/chinda_eisaku/