2025年2月28日 – 3月27日
Hiroshige Fukuhara「Recursion」
福原は09年ごろよりアーティストとしての制作を再開して以来福原は鉛筆を用いて均一な太さの実線に依ってモティーフを構成する」というユニークな技法をもちいた平面作品を発表しています。2010年のPULSE アートフェア(ニューヨーク)では個展ブースごと即日ソールドアウト。同じくニューヨークで開催されたアメリカ最大のアートフェア”The Armory Show”でも完売し、現在欧米のコレクターに大変注目されています。また福原は「ただひたすら線を描くというシンプルな行為を表現へと昇華させ、彼に描かれた実線の集積は奥行きや混沌とした世界観を表現している」とその独特な技法のみならず、すぐれた表現力でも高い評価を得ています。
福原は黒く塗られたキャンバスに鉛筆で葉や花、波や馬などのイメージをいっさいの下書きも作らずに均等の細さや等間隔で無数の実線で描きます。キャンバスは一見するとただ黒い画面ですが、間近で見ると鉛筆で端から端まで描き尽くされたそれらのイメージが浮かび上がります。黒の地に鉛筆というシンプルなメディアの特徴により見る者の環境(画面までの近さや明るさの種類)によりイメージはさまざまに表情を変えるのです。本展覧会では福原を代表する黒作品のほか、黒の技法を応用し銀箔の平面作品など、日本未公開の新作を発表いたします。
物理的な法則、構成・バランスといった彼自身のなかにもある作為や意図から自由になることを模索し新しいメディアや技法に取り組んできた福原は、この度過去最大サイズに挑みました。遠目に見た時の黒の深さとそこに潜む正位置すらないようなモティーフの戯れがさらに鮮やかにコントラストをなし、福原の追求し続ける”表現があること(実線)/表現がないこと(空間)”のせめぎ合いがより一層の迫力を持って繰り広げられています。この機会にぜひご高覧下さい。